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違法派遣訴訟 | 韓国道路公社の安全巡回外注勤労者の『派遣関係』を認めた大法院の判決
違法派遣訴訟において、大法院は勤労者派遣関係の成立および直接雇用義務の発生に関する原審の判断は維持しつつも、損害賠償金の算定に関する判断の一部は破棄し差し戻しました。(大法院2025年12月11日宣告2021ダ248053判決)
1. 違法派遣訴訟の事件内容
違法派遣訴訟を提起した原告らは、韓国道路公社と用役契約を締結し、高速道路の安全巡回業務等を委託された外注事業体に所属し、実際には韓国道路公社の事業場で安全巡回業務を遂行していた勤労者です。
原告らは、2007年施行の旧派遣法または2012年改正派遣法(以下、総称して『派遣法』)第6条の2第1項に基づき、韓国道路公社に原告らを直接雇用する義務が発生したことを前提として、韓国道路公社を相手に雇用の意思表示を請求しました。
あわせて、直接雇用義務の不履行を理由に、韓国道路公社の就業規則等に基づく賃金・手当・福利厚生・退職金相当額から外注事業体より支給を受けた金額を控除した差額相当の損害賠償を請求しました。
具体的には、① 基本給・賞与金・危険手当・業務手当・各種手当等の『基準賃金』② 敬老孝親費・家族手当・福祉ポイント・出産奨励金等の『福利厚生費』③ 延長・夜間・休日勤労手当および年次休暇未使用手当(原告21を除く)等の『法定手当』④ 退職金(一部の原告を除く)を請求の構造としました。
原審の判断
原審は、原告らが韓国道路公社から相当な指揮・命令を受ける等、派遣法上の派遣勤労関係に該当し、それに従い韓国道路公社に原告らを直接雇用する義務が発生したと判断しました。
ただし、韓国道路公社が2019年1月1日にすでに直接雇用した原告らについては雇用の意思表示請求を棄却し、その他の原告らについてはこれを認容しました。
また、原審は損害賠償の算定において、外注化が完成する前(2013年4月まで)は韓国道路公社所属の現場職安全巡回員が原告らと同種・類似の業務を遂行していたとみて当該勤労条件を適用し、外注化の完成後も『現場職(実務職)職員管理例規』(本件例規)および関連する就業規則を基準として、原告らが直接雇用されていれば適用を受けたであろう勤労条件を定めて損害賠償額を算定しました。
2. 違法派遣訴訟における大法院の判断

大法院は大きく分けて、(1)勤労者派遣関係の成立および直接雇用義務、(2)直接雇用時の勤労条件の適用、(3)直接雇用義務の不履行に伴う損害賠償の算定という細部の争点を分けて判断しました。
勤労者派遣関係の成立の有無
大法院は、原告らが被告(韓国道路公社)から相当な指揮・命令を受ける等、派遣法に定める派遣勤労関係にあるとした原審の判断を維持しました。
すなわち、違法派遣訴訟の出発点である勤労者派遣関係の成立自体は、大法院においてそのまま認められました。
直接雇用時に適用される勤労条件(本件例規等)の適用の有無
大法院は、派遣法第6条の2第3項の体系を前提として、同種・類似業務の勤労者がいる場合にはその勤労者に適用される就業規則等の勤労条件に従い、同種・類似業務の勤労者がいない場合には既存の勤労条件を下回らない範囲で自治的に形成することが原則であることを確認しました。
そして、使用事業主が派遣関係を否認する等により自治的な形成が困難な場合には、裁判所が事案ごとに勤労の内容・価値、使用事業主の勤労条件体系、立法目的、公平の観念等を総合して合理的に定めたであろう勤労条件を適用できることを前提としたうえで、原審が本件例規等を基準として損害賠償額を算定した結論を是認しました。
損害賠償の算定に関する破棄事由
大法院は、金銭請求(損害賠償)の部分について、次のような理由で原審の判断の一部を破棄し差し戻しました。
① 雇用断絶の原告らに対する責任制限(80%)は不当
これにより、この部分は破棄の対象となりました。
② 退職金相当の損害賠償:「勤労関係の未終了」のみで排斥することは困難
そうであれば、直接雇用義務の発生日から2018年12月31日までの期間は今後の退職金算定における継続勤労期間に含まれない可能性があり、その期間の退職金相当額が損害として確定する可能性があるため、原審が追加の審理なく排斥したことは違法であるとみました。
③ 第6類型の原告らの延長・夜間・休日勤労手当:一部期間の「勤労提供」についての審理不足
④ 年次休暇未使用手当:年次使用促進制度の施行実態についての審理不足
しかし、大法院は、被告の事業場で勤労基準法第61条の年次使用促進制度が実際に施行されていたのであれば、原告らが直接雇用されていた場合に使用促進を受けたことが明らかであるか、それにもかかわらず自発的に使用しなかったことが明らかであるか等を審理すべきであるにもかかわらず、これを尽くさなかったとみました。
⑤ 法定手当の控除(損益相殺):「一部の項目のみ請求」しても外注事業体の支給分は原則として控除
しかし、大法院は、直接雇用義務の不履行によって原告らが得た利益は派遣事業主から支給を受けた賃金等の全額であるため、原告が一部の項目のみを請求したという事情によって控除の範囲を制限することはできないとみました。
ただし、差戻審においては、控除の計算時に同一期間の「全体の損害」を基準として損益控除を行い、残額が請求額を超過する場合の処理方式まで公平に判断するよう指摘しました。
3. 違法派遣訴訟判決の意義
今回の判決は、違法派遣訴訟において派遣関係の成立自体を超えて、直接雇用義務の不履行に伴う金銭請求で核心となる損害賠償算定の精密な基準を多層的に整理した点に意義があります。
第一に、違法派遣が認められる場合、損害賠償の算定における損益相殺(控除)は請求項目の選択とは関係なく、原則として「派遣事業主から支給を受けた賃金等の全額」を基準としてアプローチすべきであることを明確にしました。
第二に、年次休暇未使用手当は発生日数のみで損害を確定するのではなく、使用事業場の年次使用促進制度の施行実態という事実関係を綿密に審理すべきであることを強調しました。
第三に、正規職転換が『直接雇用の履行』なのか『新規採用』なのかが混在する事件において、退職金相当の損害は「勤労関係がまだ終了していない」という形式論理のみでは排斥し難く、権利の放棄および勤労関係の再設定の有無を実質的に審理すべきであるという基準を示しました。
第四に、雇用断絶の原告に対する責任制限は、使用事業主の違法な補充構造と結びつく場合に安易に認められてはならないという点を明確にしました。
大倫の戦略
今回の判決は、違法派遣訴訟において実務上の勝敗が「違法派遣の認定」以降の金銭算定・立証で分かれ得ることを示しています。
大倫は、次のような方式で関連事件を支援しています。
▶ 事実関係の精密な分析
▶ 勤労条件体系および『同種・類似業務』の比較の構造化
▶ 損害賠償(差額)算定の『立証資料』の先行的確保
▶ 年次休暇未使用手当・年次使用促進制度のリスク対応
反対に、促進が形式的であったり実効性がなかった事情があれば、これを中心に損害認定の構造を設計します。
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