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児童虐待通報の証拠 | 同意なく撮影されたCCTV映像も児童虐待の証拠として認められるとした地方裁判所の判決分析

児童虐待の通報において、容疑の立証のために裁判所へ提出したCCTV映像が同意なく撮影されたものであっても証拠能力を認めることができるとした、地方裁判所の判決を分析します。

1. 児童虐待の通報、詳しい経緯は?

児童虐待の通報に関連する訴訟で、児童福祉法違反の容疑で起訴されたのは、産後ケアヘルパーのAさんとBさんでした。

産婦・新生児の健康管理サービス業者の職員であるAさんは、産婦の自宅で生後10日の新生児の頭を左の太ももに乗せ、あぐらをかいたまま脚を激しく揺らして虐待したという容疑で裁判にかけられました。

Bさんは、Aさんとともに別の産婦の自宅で生後60日の赤ちゃんを揺さぶって虐待した容疑で裁判にかけられました。当時、Aさんは赤ちゃんを乗せたベビーカーを速く押したり引いたりし、Bさんはバランスボールの上に座り、新生児の首を固定しない状態で上下に反動をつけていたことが調べで明らかになりました。

これらの行為はいずれも、産婦の自宅に設置された家庭用CCTVによって明らかになりました。

1審の公判で争点となったのは、当該CCTV映像の証拠能力でした。AさんはCCTVが撮影されている事実を知らなかったと主張し、産婦側は黙示的な同意を得てCCTVを設置したと主張しましたが、法律が定める告知事項*は伝えていなかったと供述しました。


*個人情報保護法第15条第2項に規定

児童虐待の通報、証拠に関わる法律情報は?

児童虐待の通報による🔗刑事訴訟の証拠収集において、家庭用CCTVは適法な証拠として採用され得るのでしょうか。

これを判断するには、個人情報保護法を検討する必要があります。

▣ 個人情報保護法第15条(個人情報の収集・利用)

① 個人情報取扱者は、次の各号のいずれかに該当する場合には個人情報を収集することができ、その収集目的の範囲内で利用することができる。

1. 情報主体の同意を得た場合

2. 法律に特別な規定がある場合、または法令上の義務を遵守するためにやむを得ない場合

3. 公共機関が法令等で定める所管業務の遂行のためにやむを得ない場合

4. 情報主体と締結した契約を履行するため、または契約を締結する過程で情報主体の要請に応じた措置を履行するために必要な場合

5. 明白に情報主体または第三者の急迫した生命、身体、財産の利益のために必要と認められる場合

6. 個人情報取扱者の正当な利益を達成するために必要な場合であって、明白に情報主体の権利より優先する場合。この場合、個人情報取扱者の正当な利益と相当な関連があり、合理的な範囲を超えない場合に限る。

7. 公衆衛生など公共の安全と安寧のために緊急に必要な場合

② 個人情報取扱者は、第1項第1号による同意を得る際には、次の各号の事項を情報主体に知らせなければならない。

1. 個人情報の収集・利用目的

2. 収集しようとする個人情報の項目

3. 個人情報の保有及び利用期間

4. 同意を拒否する権利があるという事実、及び同意拒否による不利益がある場合にはその不利益の内容

一般家庭は商業的な空間ではないため、家事手伝いやベビーシッターの同意なくCCTVを設置してもよいと考えがちです。

しかし個人情報保護法によれば、私的な領域であっても、撮影対象者に対して撮影目的、項目、保有及び利用期間、撮影拒否権について必ず告知しなければなりません。

2. 児童虐待の通報、1審の判断は?

児童虐待の通報に関連する事件で、同意なく撮影されたCCTV映像が適法な証拠として採用され得るかを審理した1審の裁判部は、当該CCTVの証拠能力を認めることはできないと判断しました。

裁判部は「CCTVの設置及び撮影が情報主体である被告人の適法な同意なく行われ、これは個人情報保護法第15条第1項及び第2項の要件を満たさない、違法に収集された証拠に該当する」として、AさんとBさんに無罪を言い渡しました。

また、「仮にCCTV内の場面を証拠と見るとしても、AさんとBさんの行為が、望ましくない世話の範囲を超えて刑事処罰の対象となる身体的虐待に該当するとは見ることができない」と判示しました。

児童虐待の通報、2審の判断は?

児童虐待の通報に関する訴訟で控訴審を進めた裁判部は、たとえ証拠が違法に収集されたものであっても、証拠能力を認めることができる場合に該当するとして、1審の決定を覆しました。

2審の裁判部は、親が世話の過程全体を継続的に監視することは現実的に不可能であり、録画以外には被害児童の法益を保護する適切な手段を見つけることが難しい点を、判断の根拠としました。

また「児童虐待の犯行は密かに行われ、被害者である乳児は自ら防御したり被害の事実を親に伝えたりする能力がないという点で、一部のプライバシーが侵害されても証拠として使用できる」と説明しました。

続けて「適法に収集された証拠ではないとしても、真実発見という公益と個人の人格的利益など保護利益を比較したとき、この場合は証拠能力を認めることができる」と判断しました。

1審と2審の裁判部は、証拠能力を認めるかどうかについては意見が分かれましたが、AさんとBさんの児童虐待の容疑について無罪と判断した結論は同じでした。

2審の裁判部は「原審が証拠能力を否認したことは適切ではないが、被告人らを無罪と判断した結論は正当である」として、1審と同じ無罪の判断をしました。

3. 児童虐待の通報、大倫の戦略は?

児童虐待の通報後の刑事裁判で、相手方の同意なく撮影されたCCTVが適法な証拠として認められた地方裁判所の判決を分析しました。

上記の事例のように、子どもが虐待を受けるのではないかと不安を感じる親が家庭用CCTVを設置する場合が多くあります。しかし相手方の同意なく撮影されたCCTV映像は、個人情報保護法により違法に収集された証拠とみなされ、裁判で証拠として採用されない場合が多くあります。

このほかにも、さまざまな民事・刑事の訴訟で、証拠の採否をめぐる争いが後を絶ちません。

法務法人(有限)大倫の🔗証拠調査グループは、証拠収集遂行チームを通じて独自に証拠を収集・分析し、実質的な効力を持つ合法的な証拠を確保できるよう依頼者を積極的に支援しています。

訴訟で証明責任による不利益を避けたい場合は、法務法人大倫に法律相談をご依頼ください。

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