調査・制裁への対応 01Search and Seizure Response
押収・捜索への対応手続
捜査機関が押収捜索令状を持って、会社の事務所やサーバーに来たときの手続です。令状の発付から現場での執行、押収物の還付、押収処分を争う方法までを扱います。段階ごとに、会社が何を確認し、何ができるかを説明します。令状に書かれた範囲が、押収・捜索の限界になります。そのため、令状の範囲を確認することが出発点です。
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手続の流れ図
ボックスをクリックすると、下に説明が表示されます。
- 基本段階
- 追加措置・選択
- 棄却・異議
- 手続終了
令状の申請・請求・発付
根拠: 刑事訴訟法第215条第2項・刑事訴訟法第215条第1項(2026年8月4日の改正で削除)
司法警察官は、犯罪捜査に必要なときは、被疑者が罪を犯したと疑うに足りる状況があり、当該事件と関係があると認められるものに限り、検事に申請し、検事の請求により地方法院判事が発付した令状によって、押収・捜索・検証をすることができます(第215条第2項)。2026-08-04の改正で、検事が直接令状を請求して押収・捜索していた条項(第215条第1項)は削除され、現行の施行版(2026-10-02施行)にも「削除」として反映されています。この段階に法定の期限はありません。
次へ: 令状の提示・記載事項の確認説明
押収・捜索は、裁判所が発付した令状がなければできません。司法警察官が検事に令状を申請し、検事が判事に請求します。そのうえで、判事が必要性を判断して発付します。検事が直接押収・捜索していた条項は、2026年8月4日の改正で削除されました。この改正は2026年10月2日から施行されているので、今はこの一つの経路だけが残っています。普段から対応担当者と連絡体制を決めておくことが備えになります。
- 所要期間
- 令状の執行は令状に書かれた有効期間内に行われ、その後の捜査・起訴までにかかる期間は事件ごとに大きく異なる
- 費用
- 刑事訴訟法に、押収・捜索を受ける側が納める手数料の規定はない。弁護士費用は別途
手続の進行案内
最初から順番にお読みください。赤い文字は法律で定められた期限です。
- 1
押収捜索令状は、司法警察官が検事に申請し、検事が判事に請求して、判事が発付します(刑事訴訟法第215条第2項)。2026-08-04の改正で、検事が直接押収・捜索する条項(第215条第1項)は削除され、現行の施行版(2026-10-02施行)に反映されています。刑事訴訟法は「任意に提出した物」だけを令状なしに押収できると定めているので(第218条)、令状なしに資料を出してほしいという要求に応じるかどうかは、会社が決められます。一度出した資料は押収物として扱われるので、提出前に範囲を決める必要があります。
- 2
捜査官は、執行の前に必ず令状を提示しなければなりません(第118条・第219条)。令状に書かれた罪名・押収すべき物・捜索すべき場所・有効期間(第114条)を、まず確認します。これらの記載事項が押収・捜索の限界だからです。逮捕の現場(第216条第1項第2号)や緊急逮捕の後(第217条第1項)に令状なしに押収した物を引き続き押収するには、検事が逮捕した時から48時間以内に令状を請求しなければならず、発付を受けられなければ直ちに返還しなければなりません(第217条第2項・第3項)。
- 3
被疑者である会社(または役職員)と弁護人は執行に立ち会うことができ(第121条・第219条)、捜査機関は前もって日時と場所を知らせなければなりません。ただし、立ち会わない意思を示したときや、急速を要するときは、通知なしに執行できます(第122条)。建物で執行するときは、看守者またはこれに準じる人を立ち会わせなければならないので(第123条第2項)、代表者や指定担当者が現場を守り、すぐに弁護人に連絡します。
- 4
サーバー・PCなどの記憶媒体は、令状の範囲の情報だけを出力・複製するのが原則で、それが不可能か著しく困難なときにだけ媒体そのものを押収します(第106条第3項)。そのため、選別の基準を見守り、範囲外の資料が混ざらないよう意見を残します。警察の捜査では、媒体を持ち出した後の探索・選別の過程まで立会いが保障され、現場外での押収の日時・場所を前もって通知されます(警察庁「デジタル証拠の処理等に関する規則」第16条・第23条)。
- 5
押収が終わったら押収目録を受け取り(第129条)、実際に持っていかれた物・ファイルと照らし合わせます。業務に必要な押収物は還付・仮還付を請求し、検事が拒めば裁判所に決定を請求します(第218条の2)。押収処分そのものが違法だと考えるなら、裁判所に準抗告(第417条)で取消し・変更を求めます。条文上、請求期間はないので、押収直後にすぐ検討します。
- 6
押収・捜索の後に役職員が被疑者として呼び出されたら、申し出て弁護人が被疑者尋問に立ち会い、不当な尋問方法に異議を述べることができます(第243条の2)。質問は押収資料をもとに出てくるので、押収目録を前もって検討しておけば、答えを準備できます。
これから守るべき期限
- 逮捕後48時間(令状のない押収の場合の令状請求)第2段階 令状の提示・記載事項の確認
準備・確認事項
- 押収・捜索のときに連絡する社内担当者と弁護人の連絡先を、前もって決めておきます。現場で誰が何をするかが決まっていてこそ、混乱を減らせます。
- 令状の罪名・押収すべき物・捜索すべき場所・有効期間を確認し、写真やメモで残します。範囲を争うときの基準になります。
- 代表者や指定責任者が現場に立ち会い、すぐに弁護人に連絡します。立ち会ってこそ、範囲外の押収をその場で指摘できます。
- 電子情報の選別基準と複製対象のファイルを記録し、媒体を丸ごと持っていかれたら、その目録を受け取っておきます。後の還付や準抗告の根拠になります。
- 押収目録を実際の押収物と照らし合わせ、漏れている項目はすぐに直すよう求めます。目録が返還を求める基準です。
- 業務に必要な押収物は、還付・仮還付(仮に返してもらうこと)を請求します。捜査にそれ以上必要でない物は返さなければならないからです。
弁護士が必要なとき
次のような場合は、すぐに弁護士の助けが必要です。 捜査官が令状を持って会社に到着した場合、サーバーやノートパソコンを丸ごと持っていくと言われた場合です。
業務に必要な押収物を返してもらう必要がある場合、役職員が被疑者として呼び出された場合も同じです。
押収・捜索では、現場で令状の範囲を守らせることが重要です。 弁護人は執行に立ち会えるので、すぐに連絡します。

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第6段階 · 押収物の還付・仮還付の請求
今すべきこと
業務に欠かせない帳簿やサーバーが押収されたら、返すよう(還付)、またはひとまず仮に返すよう(仮還付)請求できます。 捜査に引き続き必要でない物は返さなければならないからです。
検事が拒めば、裁判所に返還の決定を請求できます。 司法警察官が押収した物にも、同じ方法が適用されます。
- 業務に必要な押収物は、還付・仮還付(仮に返してもらうこと)を請求します。捜査にそれ以上必要でない物は返さなければならないからです。
次に起こること
第7段階 · 準抗告(押収処分への不服申立て)
令状の範囲を超えて押収した、または手続に違反したと判断できる場合があります。 その場合は、裁判所にその押収処分を取り消すか変更するよう請求できます(準抗告)。 書面で管轄裁判所に出します。
条文には請求の期限が定められていないので、押収直後にすぐ検討して出します。 法律にある「7日」の期限は、裁判長・受命裁判官の裁判に対するものなので、この場合とは異なります。
これから守るべき期限
以降の段階に法定期限はありません。
弁護士に依頼すべきとき
次のような場合は、すぐに弁護士の助けが必要です。 捜査官が令状を持って会社に到着した場合、サーバーやノートパソコンを丸ごと持っていくと言われた場合です。
業務に必要な押収物を返してもらう必要がある場合、役職員が被疑者として呼び出された場合も同じです。
押収・捜索では、現場で令状の範囲を守らせることが重要です。 弁護人は執行に立ち会えるので、すぐに連絡します。
よくある質問
この手続ですぐに気になる実務上の質問です。
- Q捜査官が令状なしに資料を求めています。渡さなければなりませんか?
- 令状のない提出要求は、任意提出(自ら差し出すこと)の要請です。法律は、「任意に提出した物」だけを令状なしに押収できると定めています。そのため、応じるかどうかは会社が決められます。ただし、一度出すと、その資料は押収物と同じように証拠として使われることがあります。そのため、提出するかどうか、出すならどこまで出すかを弁護士と決めてから対応するのが安全です。逮捕の現場のように、令状なしに押収できる例外もあるので、まず状況を確認します。
- Q弁護士が到着するまで、押収・捜索を待ってほしいと言えますか?
- 会社と弁護人には、執行に立ち会う権利があります。そのため、弁護人がまもなく到着すると伝えて、待ってほしいと求めることができます。ただし、刑事訴訟法には、弁護人が到着するまで執行を延ばさなければならないという規定はありません。急速を要するときは、前もって通知せずに執行することもできます。そのため、弁護人を待つ間も、責任者が現場に立ち会い、令状の範囲と押収の対象を記録します。
- Qサーバーを丸ごと持っていかれると業務ができません。どうすればよいですか?
- 記憶媒体は、令状の範囲の情報だけを選んで出力するか複製するのが原則です。媒体そのものの押収は、それが不可能か著しく困難なときにだけ認められます。そのため、現場で選別複製が可能であることを説明し、記録を残します。すでに持ち出された場合は、写しを確保した後に還付・仮還付(押収物を返してもらうこと)を請求できます。検事が拒めば、裁判所に決定を請求します。
- Q令状の範囲を超えた押収は、どう争いますか?
- 裁判所に準抗告(押収処分に対する不服申立て)を出して、押収処分の取消しや変更を請求します。書面で管轄裁判所に提出し、条文上、請求の期限はありません。期限がなくても、押収直後にすぐ検討して出します。押収目録と現場の記録が範囲を超えたことの根拠になるので、一緒に出します。
- Q押収・捜索の後に役職員が呼び出されたら、弁護士が一緒に入れますか?
- はい、可能です。被疑者や弁護人が申し出れば、捜査機関は正当な理由がない限り、弁護人を尋問に立ち会わせなければなりません。弁護人は、不当な尋問方法に異議を述べることができます。質問は押収された資料をもとに出てくるので、取調べの前に押収目録を一緒に検討しておけば、答えの食い違いを減らせます。
弁護士が必要なとき
- 令状は、司法警察官の申請、検事の請求、判事の発付の順に出ます。2026-08-04の改正で検事が直接押収・捜索する条項が削除され、現行の施行版(2026-10-02施行)に反映されているので、現行法令を基準に手続を確認します。
- 押収・捜索には法定の期限がほとんどない代わりに、現場での対応が重要です。令状の範囲の確認、責任者の立会い、押収目録との照合の三つを守って初めて、後で還付や準抗告をする根拠が残ります。
- 税務の犯則調査のように、個別の法律による押収・捜索は、その法律の手続に従います(例:租税犯処罰手続法第9条)。どの機関がどの法律に基づいて来たのかを、まず確認します。
関連法令
- 刑事訴訟法第106条(押収)・第114条(令状の方式)・第118条(令状の提示)・第121条・第122条・第123条(立会権・通知・責任者の立会い)・第129条(押収目録の交付)・第215条(令状による押収・捜索)・第216条・第217条(令状のない押収)・第218条(任意提出)・第218条の2(還付・仮還付)・第219条(準用)・第243条の2(弁護人の立会い)・第417条・第418条・第419条(準抗告)、警察庁「デジタル証拠の処理等に関する規則」第12条・第16条・第19条・第20条・第23条

