CONTENTS
- 1. 通常賃金への該当性が問題となった事件

- - 通常賃金に関する1審・2審の判断
- 2. 通常賃金に関する大法院の判断

- - 基本賞与金の通常賃金性
- - 基本成果給(内部評価給)の通常賃金性
- - 経営成果給・自体成果給・長期勤続奨励金の通常賃金性
- 3. 通常賃金に関する判決の意義

- - 大倫の戦略
1. 通常賃金への該当性が問題となった事件
通常賃金への該当性が問題となった本件は、韓国水力原子力株式会社(被告)の労働者らが提起した賃金および法定手当請求訴訟です。
原告となった労働者900人余りは、会社が支給した①基本賞与金、②基本成果給(内部評価給)、③経営成果給・自体成果給、④長期勤続奨励金などを通常賃金から除外したのは不当であるとして、追加手当と退職金の差額を請求しました。
核心的な争点は、在職中の労働者にのみ支給されるという条件(在職条件)が付いた基本賞与金が通常賃金に該当するのか、勤務実績に応じて差をつけて支給される成果給が通常賃金と認められるのかという点でした。
通常賃金に関する1審・2審の判断
ソウル高等法院は、基本賞与金は在職条件があっても定期的・一律的に支給される賃金として通常賃金に該当すると判断しました。
ただし、退職者・休職者は除外されるため一部の制限はあるものの、それ自体で所定労働の対価性を否定することはできないと判示しました。
基本成果給(内部評価給)については、被告の報酬規定上、基準賃金の200%が支給率として明示されており、過去10年間にわたり同一の金額が慣行的に支給されてきたため、全額が固定性のある賃金として通常賃金に該当すると判断しました。
一方、経営成果給・自体成果給・長期勤続奨励金は、実績や勤続期間に応じて差をつけて支給されるため、所定労働の対価性が認められないとして通常賃金性を否定しました。
結局、2審は労働者らの一部の請求を認容し、使用者である韓国水力原子力と労働者らがそれぞれ上告しました。
2. 通常賃金に関する大法院の判断

大法院は通常賃金の概念を次のように整理しました。
「通常賃金とは、労働者に定期的・一律的に所定労働の対価として支給することを定めた賃金であり、労働者が正常に勤務すれば当然に支給される金額を意味する。」
したがって、特定の時点で「在職中」という条件が付いていても、これは単に支給対象を区分する要件にすぎず、所定労働の対価性そのものを否定する要素ではないということです。
すなわち、在職条件があるからといって通常賃金性が当然に否定されるわけではないという趣旨で判示しました。
基本賞与金の通常賃金性
大法院は基本賞与金の通常賃金性について次のように判断しました。
基本賞与金に在職条件が付いていても、これは支給対象者を限定する条件にすぎず、すでに労働契約上支給が予定された賃金を退職の時点で剥奪する無効条件とみることはできないとしました。
したがって、基本賞与金は通常賃金に該当するという趣旨であり、原審が「在職条件は無効であるため固定性が維持される」とみた論理には一部不適切な点があるものの、結論として通常賃金の認定は正当であると判断しました。
基本成果給(内部評価給)の通常賃金性
最も核心的な争点であった成果給の通常賃金性について、大法院は、勤務実績に応じて差をつけて支給される成果給は所定労働の対価ではなく、実績や評価に応じて支給の有無・金額が変わる以上、通常賃金には該当しないと判断しました。
ただし、勤務実績と無関係に最低限度で支給される金額(最低支給分)が定められている場合、その部分は所定労働の対価として通常賃金に含まれ得るとみました。
そして、その判断基準は支給年度ではなく成果給の支給対象期間(前年度)を基準としなければならないため、前年度の労働の対価として支給される成果給であれば前年度の通常賃金に該当すると判示しました。
結局、大法院は、原審が基本成果給の全額を通常賃金とみたのは誤りであると判断しました。
これにより、基本成果給のうち最低支給分の範囲を改めて審理すべきであるとして、この部分を破棄・差戻ししました。
経営成果給・自体成果給・長期勤続奨励金の通常賃金性
大法院は、経営成果給と自体成果給は、機関の評価結果や内部評価に応じて差をつけて支給される実績給であり、通常賃金にはなり得ないと判断しました。
長期勤続奨励金も、特定の勤続年数の達成という条件付き支給金であり、定期的・一律的な賃金ではないため通常賃金には該当しないとみました。
3. 通常賃金に関する判決の意義
大法院は次のように結論づけました。
・基本成果給:最低支給分のみ通常賃金に該当し得る(破棄・差戻し)
・経営成果給・自体成果給・長期勤続奨励金:通常賃金ではない
→ ソウル高等法院へ差戻し、その他の上告はすべて棄却
本判決は、成果給と賞与金の通常賃金の判断基準を定めた判例であり、2024年以降の通常賃金法理を再確認した意義があります。
①在職条件と通常賃金の分離の明確化
企業が在職要件を理由に通常賃金から除外する慣行は、もはや正当化することが難しくなります。
②成果給の最低支給分理論の確立
これは、企業が成果給制度を設計する際、最低保証額の明示の有無が通常賃金リスクを決定づける核心的な要素であることを意味します。
③成果給の支給年度と対象年度の区分の明示
大倫の戦略
▶企業の通常賃金リスクの診断
成果給・賞与金体系のチェックリストを活用して、在職条件、支給周期、勤務実績との連動の有無を整理し、通常賃金の算定基準に含まれる可能性のある項目を先んじて区分します。
▶成果給制度の設計に関する助言
「成果給のうちの最低保証額」が存在する場合、その金額が通常賃金とみなされるおそれがあるため、明確な成果評価基準と差等構造(可変要素)を設ける必要があります。
▶賃金体系および規定の改定支援
団体協約・報酬規定・成果給規定において、支給対象期間、評価基準、最低支給分の明示の有無を明確にする文言の整備が必要です。
特に公共機関や大企業は、政府指針の変更時に即座に内部規定を改定するプロセスを運用する必要があります。
▶訴訟対応および会計リスクの管理
労働者側の請求が発生した場合、各給与項目ごとの「所定労働の対価性」の立証の可否を中心に法理を具体的に構成します。
企業会計の面でも、成果給に関する引当金の算定方式を通常賃金の判断基準に合わせて調整する必要があります。
本判決は、「在職条件があっても通常賃金になり得る」という法理と、「成果給は原則として通常賃金ではないが、最低保証額があれば例外的に該当する」という基準を確立した判例です。
法務法人大倫は、企業専門弁護士、労務士、会計士など法律専門家の協業体制を通じて、企業の通常賃金リスクの診断、賃金規定の整備、団体協約の改定、そして大規模な集団賃金訴訟への対応まで全過程の助言および訴訟代理を行っています。
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