CONTENTS
- 1. 業務妨害罪の疑いで訪れた依頼者の事情

- 2. 業務妨害罪の危機に直面した依頼者へのサポート

- - パスワードを引き継がない行為では業務妨害罪が成立しないと主張
- - 退職後に告訴人からの業務依頼に応じた点を強調
- - 業務ファイルの保存行為は窃盗に当たらないと主張
- 3. 業務妨害罪事件のサポート結果、不送致決定

- - 業務妨害罪が成立するのはどのような場合?
- 4. 業務妨害罪事件における初期対応の必要性

- - よくあるご質問
1. 業務妨害罪の疑いで訪れた依頼者の事情

業務妨害罪の疑いを受け、刑事弁護士を訪ねた依頼者の事情は、以下のとおりでした。
依頼者は、ある会社でデザイナーとして長年勤務し、マーケティングと広報業務全般を担当していました。
しかし、普段から対立していた従業員が統括業務を担当することになり、それと同時に会社も経営難で給与の支払いが不安定になったことから、退職を決意したと話されました。
退職後、依頼者は支給されていない退職金の問題をめぐり、会社を相手に賃金未払いの告訴および手続きを進めることになりました。
そのような中、前会社の代表者(以下「告訴人」)は、依頼者が退職時に後任者へ自身の業務を適切に引き継がず、業務で使用していた会社のプログラムアカウントのパスワードも提供しなかったため、正常な業務を妨害したとして、業務妨害罪で告訴しました。
また、依頼者が退職時に業務上管理していた複数のファイルを個人のノートパソコンに保存して持ち出したとして、窃盗の疑いも併せて主張している状況でした。
しかし、依頼者は退職後約1年間、引継ぎにより生じた問題やファイルの返還に関する連絡を受けたことがなく、むしろ賃金未払いの告訴を進めた後に刑事告訴を受けたことについて、悔しさを訴えられました。
2. 業務妨害罪の危機に直面した依頼者へのサポート

業務妨害罪および窃盗の疑いをかけられた本件では、退職時にパスワードを伝えなかったことを理由に業務妨害の疑いが成立し得るかを把握することが必要でした。
また、会社のファイルを個人のパソコンに保存した行為に窃盗罪が適用されるかについても併せて検討する必要がありました。
パスワードを引き継がない行為では業務妨害罪が成立しないと主張
告訴人は、依頼者が後任者に会社の業務で必要なアカウントのパスワードを伝えなかったため、会社の業務を妨害したと主張しました。
しかし、この会社では、業務に必要なアカウントおよびパスワードをExcelファイルで管理し、従業員と共有する仕組みになっていました。
実際に、当法律事務所のデジタルフォレンジックセンターは、会社の従業員がExcelファイルをやり取りしていた社内メッセンジャーの内容を確保しました。
また、会社で使用するアカウントには会社が所有するメールアドレスが使われていたため、パスワードが分からなくても認証手続きを通じてアクセスし、使用できたという点を主張しました。

これに関して韓国大法院は、メインコンピュータのパスワードはシステムへのアクセスに用いるセキュリティ手段にすぎないため、単にパスワードを伝えなかったという事情だけでは、情報処理装置の機能に障害を発生させたとは認められず、韓国刑法上のコンピュータ等障害業務妨害罪は成立しないと判断しました(韓国大法院2004. 7. 9.宣告2002도631判決)。
また、韓国大法院は、偽計による業務妨害罪における偽計とは、相手方に誤認や錯覚を生じさせ、それを利用することを意味するとした上で、相手方がこれにより誤った行為や処分をした場合に初めて業務妨害罪が成立すると判示しました(韓国大法院1992. 6. 9.宣告91도2221判決)。
退職後に告訴人からの業務依頼に応じた点を強調

依頼者は退職後も、告訴人と統括管理者から、それまで担当していた業務をもう少し手伝ってほしいとの依頼を受け、週に1回程度、在宅勤務の形で業務を支援していました。
当時、告訴人は、業務を手伝った分の日当は退職金と併せて支払うと述べる一方、賃金未払いの告訴について処罰を望まない旨の意思表示をしてほしいと提案したこともありました。
そこで、刑事弁護士は証拠調査の専門家と協力し、当時の業務メールやメッセンジャーでの会話内容を確保して提出しました。
引継ぎが行われなかったことで会社が被害を受けた事実が明らかであれば、会社が退職した依頼者に業務支援を依頼することはなかったはずだと主張するとともに、業務を妨害する意思がなかった点を強調しました。
業務ファイルの保存行為は窃盗に当たらないと主張
告訴人は、依頼者が在職中に使用した業務ファイルや資料を個人のノートパソコンに保存して持ち出した行為が、窃盗に当たると主張しました。
しかし、依頼者は退職を予定していたため、管理者の依頼に従い、自身が使用していたパソコンの資料をチーム内のパソコンへ移す作業を行っており、同じ部署の従業員もこの作業を一緒に手伝っていました。
刑事弁護士は、当時一緒に勤務していた従業員の供述を確保し、依頼者が会社で使用する資料を残して退職したことを立証しました。
これに関して韓国大法院は、コンピュータに保存された情報それ自体は財物に該当せず、これをコピーまたは出力したとしても、被害者の占有や利用可能性が減少するものではないため、窃盗罪が成立するとは認められないと判示しました(韓国大法院2002. 7. 12.宣告2002도745判決)。
そこで刑事弁護士は、上記の判示内容とともに、依頼者の行為は業務の過程で作成した資料を複製したものであり、会社の占有を侵害していないため、窃盗の疑いは認められないと強く主張しました。
3. 業務妨害罪事件のサポート結果、不送致決定
業務妨害罪の疑いをかけられた本件では、依頼者が社内プログラムのアカウントのパスワードを提供せず、業務の引継ぎを適切に行わなかったため、会社の正常な運営に支障を生じさせたかどうかが核心でした。
しかし、捜査機関は、依頼者が退職した直後も会社が社内プログラムに投稿を更新しており、パスワードを変更した事実も確認されていないことが明らかであるとしました。
また、ファイルが窃盗の客体にも該当しないことが明らかだと判断し、業務妨害と窃盗について不送致を決定しました。
業務妨害罪が成立するのはどのような場合?
業務妨害罪は、単に相手方に不便を生じさせたという理由だけで成立するものではありません。
韓国刑法は、以下のように業務妨害罪を定めています。
区分 | 処罰 |
偽計または威力により人の業務を妨害した場合 | 5年以下の懲役または1,500万ウォン以下の罰金 |
情報処理装置に障害を発生させて業務を妨害した場合 | 5年以下の懲役または1,500万ウォン以下の罰金 |
根拠規定 | 韓国刑法第314条 |
業務妨害罪が成立するためには、偽計または威力によって他人の業務を妨害しなければなりません。
ここで、「偽計」とは相手方に誤認、錯覚または不知を生じさせ、それを利用することを意味し、「威力」とは人の自由意思を制圧し、または混乱させ得る一切の勢力を意味します。
また、一般的な対立や不便だけでは、業務妨害罪は認められにくいです。(韓国大法院2005. 3. 25.宣告2003도5004判決)
さらに、情報処理装置に障害を発生させて業務を妨害した場合も、業務妨害罪が成立することがあります。
結局、業務妨害罪は、相手方の正常な業務遂行に実際にどのような影響を与えたか、また、偽計や威力が存在したかを総合的に検討して判断されます。
4. 業務妨害罪事件における初期対応の必要性
業務妨害罪事件は、単にパスワードを伝えなかった、または業務資料を保管していたという事情だけで結論が決まるものではありません。
実際に、業務妨害の結果が発生したか、関連資料がどのように管理されていたかなどによって判断が異なり得るため、初期段階から事実関係を正確に整理する過程が重要です。
韓国第9位の法律事務所・大倫(25年韓国国税庁付加価値税申告基準)は、事件に適した刑事弁護士を中心に専門家TFを構成し、事件をサポートしています。
業務妨害罪や窃盗の疑いで取調べを控えている場合、または対応が必要な状況にある場合は、🔗専門弁護士への法律相談予約を通じてサポートを受けることをご検討ください。
よくあるご質問
Q. 業務妨害罪で告訴された場合、必ず警察の取調べを受けなければなりませんか?
A. 業務妨害罪で告訴が受理されたからといって、必ず出頭して取調べを受けるとは限りません。事件の内容や提出された資料などに応じて、書面調査で進められたり、追加資料の提出を通じて事実関係を疎明する手続きが行われたりすることもあります。
Q. 業務妨害罪は、被害会社と示談すれば事件が終結しますか?
A. 被害会社との示談は、捜査機関の判断において重要な要素となることがあります。ただし、業務妨害罪は示談が成立したからといって必ず事件が終了するわけではないため、具体的な事実関係や証拠などを総合的に検討して対応することが重要です。
本コンテンツはDaeryun Law LLCの実際の解決事例を一部脚色したものであり、著作権は当事務所に帰属します。
無断転載、複製、配布等の著作権侵害行為は、関連法令により法的措置が取られる場合があります。






