刑事 04Restitution Order in Criminal Trial
賠償命令の申立て手続
加害者の刑事裁判の中で、賠償命令(被害額を支払うよう命じる命令)を申し立てる手続です。別に民事訴訟を起こす必要はありません。印紙代なしで、刑事裁判とあわせて決定されます。
手続の流れ図
ボックスをクリックすると、下に説明が表示されます。
- 基本段階
- 追加措置・選択
- 棄却・異議
- 手続終了
対象犯罪・事件の確認
根拠: 訴訟促進等に関する特例法第25条
自分の事件が賠償命令の対象となる犯罪(傷害・暴行致傷・過失致死傷・窃盗・強盗・詐欺・恐喝・横領・背任・損壊など、訴訟促進法第25条)かどうかを確認します。そして、加害者が起訴された法院と事件番号を、捜査機関や被害者通知制度で確認します。対象となる犯罪でなくても、加害者と賠償額について合意していれば申し立てることができます。
次へ: 被害額の資料の整理説明
まず、自分の事件が賠償命令を申し立てられる罪(傷害、窃盗、詐欺、恐喝、横領、損壊など)かどうかを確認します。そして、加害者の裁判がどの法院の何番の事件かを、捜査官や被害者通知を通じて把握しておきます。定められた罪でなくても、加害者と賠償額について合意していれば申し立てることができます。
- 所要期間
- 刑事裁判とあわせて決定(期間は刑事裁判の進行による)
- 費用
- 申立書には印紙を貼りません。その他の費用は、裁判が進んでいる法院に確認します
手続の進行案内
最初から順番にお読みください。赤い文字は法律で定められた期限です。
- 1
まず、自分の事件が賠償命令の対象となる犯罪(傷害・暴行致傷・過失致死傷・窃盗・強盗・詐欺・恐喝・横領・背任・損壊など、訴訟促進法第25条)かどうかを確認します。次に、加害者が起訴(裁判にかけられること)された法院と事件番号を、捜査機関や被害者通知制度を通じて把握しておきます。対象となる犯罪でなくても、加害者と賠償額について合意していれば申し立てることができます。
- 2
治療費の領収書、修理費の見積書、奪われた金額の振込記録などを集め、直接の物的被害、治療費、慰謝料を項目ごとに整理します。被害額が特定されない場合や、賠償責任の範囲が明らかでない場合は賠償命令が出されないため(第25条第3項)、証拠が確かな項目を中心に書きます。
- 3
賠償命令(刑事裁判で加害者に被害の賠償もあわせて命じる決定)の申立書を、加害者の刑事裁判の第1審または第2審の弁論終結までに裁判部に提出します(第26条)。弁論終結とは、法院が審理を終えることをいいます。申立書には印紙(法院の手数料)を貼らず、証人として出席した公判期日(裁判の日)には口頭でも申し立てることができます。公判日程の通知をあらかじめ申請しておけば、裁判の日を逃しません。
- 4
裁判部は刑事裁判を進めながら、賠償の範囲もあわせて審理します。被害者は公判期日に出席して被害額を述べ、証拠を提出することができます。被告人(加害者)側が示談を提案した場合は、お金が支払われたことを確認してから申立てを取り下げることができます。
- 5
法院は有罪判決を言い渡す際に、判決の主文(結論部分)で賠償を命じます(第31条)。被害額が明らかでない場合や刑事裁判が遅れるおそれがある場合は申立てを却下し、却下または一部のみ認容した裁判に対して被害者は不服を申し立てることができません(第32条第4項)。ただし、却下されても、認められなかった損害は民事訴訟で請求することができます(第34条第2項)。被告人は賠償命令に対して7日以内に即時抗告をすることができます(第33条)。
現在の段階 - 6
賠償命令が確定すると、強制執行に関しては執行力のある民事判決正本と同じ効力を持ちます(第34条第1項)。加害者がお金を支払わなければ、賠償命令が記載された判決書で、給与・預金・不動産に強制執行(差押えなど)をします。認容された(認められた)金額は改めて民事訴訟で請求することはできず、賠償命令に含まれなかった残りの損害は民事訴訟で別に請求します。
これから守るべき期限
- 弁論終結前第3段階 賠償命令の申立書の提出
準備・確認事項
- 自分の事件が賠償命令の対象となる犯罪かどうか、加害者の裁判の法院と事件番号が何かを確認します。申立書はその裁判部に提出します。
- 却下されないよう、治療費・修理費・被害額の領収書と計算資料を整理します。
- 弁論終結後は申し立てられないため、公判日程の通知でその日付を確認します。
- 賠償命令の申立書を弁論終結前に提出します。
- 賠償命令だけではお金が支払われないため、強制執行の対象となる加害者の財産を把握します。
弁護士が必要なとき
このような場合は、申立ての前に弁護士の助けが必要です。 被害額を計算する資料が十分でないとき、加害者の財産が分からないときです。
自分の事件が賠償命令の対象となる犯罪かどうかはっきりしないときも同様です。 被害額が特定されなければ賠償命令は出されず、却下された裁判には不服を申し立てることができないからです。

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第5段階 · 賠償命令の決定
今すべきこと
法院は有罪を言い渡す際に、「いくら賠償せよ」ということもあわせて決めます。 被害額が特定されない場合や、公判手続が著しく遅れるおそれがある場合は、申立てを却下(受け付けないこと)します。
この決定に被害者は不服を申し立てることができません。 ただし、賠償命令で認められなかった損害は民事訴訟で請求することができます。
次に起こること
第6段階 · 確定・強制執行
賠償命令が確定すると、強制執行に関しては執行力のある民事判決正本と同じ効力を持ちます。
そのため、加害者がお金を支払わなければ、判決書で給料、預金口座、不動産を差し押さえることができます。 賠償命令で認められた金額は、民事訴訟で改めて請求することはできません。
これから守るべき期限
以降の段階に法定期限はありません。
弁護士に依頼すべきとき
このような場合は、申立ての前に弁護士の助けが必要です。 被害額を計算する資料が十分でないとき、加害者の財産が分からないときです。
自分の事件が賠償命令の対象となる犯罪かどうかはっきりしないときも同様です。 被害額が特定されなければ賠償命令は出されず、却下された裁判には不服を申し立てることができないからです。
よくある質問
この手続ですぐに気になる実務上の質問です。
- Q賠償命令の申立書はどこでもらい、どこに提出しますか?費用はかかりますか?
- 加害者の刑事裁判が進んでいる法院(裁判部)に提出します。申立書には印紙を貼りません。様式とその他の費用は、その法院に確認します。証人として出席した裁判の日には、口頭で申し立てることもできます。事件番号は、公判日程の通知書や捜査機関で確認します。
- Qどのような被害まで賠償命令で受け取れますか?
- 法律が定める犯罪では、直接の損害と慰謝料を請求できます。傷害・暴行致傷・窃盗・詐欺・横領・性暴力などが該当します。直接の損害とは、治療費・修理費・奪われた金額のようなものです。それ以外の犯罪は、加害者と賠償額について合意した場合にのみ申し立てることができます。被害額が特定されない損害や、賠償責任の範囲が明らかでない損害については、賠償命令を受けることができません。
- Q弁論終結がいつなのか、どうすれば分かりますか?
- 被害者が申請すれば、検事が公判の日時・場所と裁判の結果を通知します。弁論終結(裁判の審理を終えること)の時期は裁判部に確認します。第1審で逃しても、控訴審(第2審)が開かれれば、第2審の弁論終結までは申し立てることができます。
- Q賠償命令の申立てが却下されたり、一部しか認められなかったりした場合はどうすればよいですか?
- 被害者はその決定に不服を申し立てることができません。ただし、賠償命令で認容されなかった損害については、民事法院に損害賠償訴訟を起こすことができます。金額が少なければ、支払命令や少額事件で進めます。このとき、刑事判決書と捜査記録を証拠として使います。
- Q加害者にお金がなければ、賠償命令も意味がないのですか?
- 賠償命令が出たからといって、すぐにお金が支払われるわけではありません。加害者の財産に強制執行をしなければ受け取れません。加害者の財産が分からなければ、法院に財産明示・財産照会(法院を通じて財産を探す手続)を申し立てます。死亡・障害・重傷害の被害であれば、加害者から受け取れなかった部分を犯罪被害者救助金として申請することができます。
- Q弁護士なしで自分だけで申し立てられますか?
- はい、可能です。申立書に被害の項目と金額を書き、証拠書類を添付すれば足ります。裁判部が刑事裁判とあわせて判断します。ただし、賠償責任の範囲が明らかでなければ賠償命令は出されません。そのため、資料の整理には弁護士の助けを受けるのが安全です。
弁護士が必要なとき
- 賠償命令は、刑事裁判の弁論終結までしか申し立てることができません。公判日程の通知を申請しておき、裁判の日を逃さないようにします。
- 賠償命令の申立てが却下されても、認容されなかった損害は民事訴訟で請求できます。ただし、賠償命令で認められた金額の範囲では、改めて請求することはできません(訴訟促進法第34条第2項)。
- 賠償命令が出たからといってすぐにお金が支払われるわけではないので、加害者の財産をあらかじめ把握しておく必要があります。
- 被告人は、有罪判決に上訴せずに賠償命令に対してだけ、上訴提起期間(言渡日から7日、刑事訴訟法第358条)内に即時抗告をすることができます(訴訟促進法第33条第5項)。申立人は、却下・一部認容の裁判に不服を申し立てることができません(第32条第4項)。
関連法令
- 訴訟促進等に関する特例法第25条(対象)・第26条(申立て)・第31条(言渡し)・第32条(却下)・第33条(不服)・第34条(効力)

