CONTENTS
- 1. 職務発明報償金 | 概念と重要性

- - 職務発明補償の法的根拠と権利関係
- 2. 職務発明報償金 | 報償の種類

- - 職務発明報償金の算定の原則
- - 職務発明補償規程の導入手続き
- 3. 職務発明報償金 | 企業が職務発明報償金制度を活用する利点

- - 職務発明補償制度の事前対応と戦略的運用の必要性
1. 職務発明報償金 | 概念と重要性

職務発明報償金とは、 企業で勤務する従業員が業務中に特許などの発明をした場合、それに関する権利を企業が承継し、それに対する金銭的な報償金を企業が従業員に支給するものである。
ここでいう職務発明とは、発明に限らず、考案、創作などを含んでいる。
職務発明の要件を満たすには、雇用契約により他人の事業に従事する労働者の発明でなければならず、労働者の発明が性質上使用者の業務範囲に属するだけでなく、発明に至った行為が労働者の現在または過去の職務に属する必要がある。
今日、大部分の技術発明は、個人のアイデアのみで完成されるよりも、企業の研究環境、設備、人材、資金など会社の支援の下で行われる。
これに伴い、発明を生み出した従業員と、これを支援した使用者との間で合理的な利益調整が必要となり、これを法的に明文化したものが『職務発明報償金制度』である。
発明振興法は、従業員が職務上の発明をした場合、使用者が当該権利を承継し、従業員に正当な報償を支給するよう義務づけている。
これは企業の技術競争力の確保と従業員の動機づけを同時に達成する重要な法的仕組みである。
職務発明補償の法的根拠と権利関係
発明振興法第15条によれば、職務発明は会社の承継対象であり、権利を承継した会社は正当な補償金を発明者に支払わなければならない。
この場合、会社が権利を承継した後に出願しない、または放棄・取下げをするときであっても、補償義務は存在する。補償の方式と基準は、勤務規程または別途の補償規程を通じて明確にすることで、紛争を防止できる。
企業は必ず職務発明補償規程を事前に制定し、これを従業員に公表しなければならず、不利に変更する場合は従業員の過半数の同意を得なければならない。
② 使用者等は、第1項による補償について、補償の形態と補償額を決定するための基準、支給方法等が明示された補償規程を作成し、従業員等に書面で知らせなければならない。
2. 職務発明報償金 | 報償の種類

職務発明報償金は、企業が定めた報償規程に従い、発明の段階ごとに多様な報償方式が適用される。
一般的に、発明提案報償、出願報償、登録報償、実施(実績)報償、処分報償、出願留保報償に区分される。
このほかにも、審査請求報償、特許防御報償 なども運営が可能である。
企業は自社の業種と発明の類型、従業員の報償の選好を考慮し、金銭的報償のほかに海外研修、サバティカル、学位課程の支援などの非金銭的報償も並行して、職務発明の動機を促すことができる。
▶職務発明報償の種類
区分 | 説明 |
|---|---|
発明(提案)報償 | 従業員が発明を考案して提案した際、特許出願の有無にかかわらず、アイデアと発明的努力に対して支給する奨励金的性格の報償 |
出願報償 | 従業員の発明を使用者が承継して特許庁に出願する際に支給する報償 |
登録報償 | 使用者が承継した職務発明が特許登録を完了した際に支給する報償 |
実施(実績)報償 | 特許出願または登録された発明を使用者が実際に実施して収益を創出した場合、その利益の一定割合または金額を従業員に差をつけて支給する報償 |
処分報償 | 使用者が職務発明の特許を第三者に譲渡したり、実施権を許諾して金銭的利益を得た場合、処分金額の一定割合で支給する報償 |
出願留保報償 | 発明を非公開のノウハウ(Know-How)として保存したり、公開時に重大な損害のおそれがあるため出願を留保する場合に支給する報償 |
審査請求報償 | 使用者が出願した発明について審査請求を行う際に支給する報償 |
防御報償 | 自社の業種と関連する他人の出願発明について、異議申立て、審判、無効審判を提起したり、自社の特許侵害を摘発した際に支給する報償 |
実績(成果)報償 | 職務発明を通じて企業の売上増大、コスト削減、新市場の開拓など実質的な成果を達成した際に支給する成果給型の報償 |
非金銭的報償 | 金銭以外の海外研修、留学、サバティカル、学位課程の支援、希望職務選択権の付与など、非金銭的インセンティブ |
職務発明報償金の算定の原則
報償金の算定時には、当該発明が会社に寄与した利益と発明者の貢献度を併せて考慮する必要がある。
報償額の算定基準は、以下の要件を総合的に反映してはじめて正当性が認められる。
② 技術力の向上、ブランド価値など非財務的効果
③ 発明者個人の寄与度と貢献率
法的紛争の防止のために、算定方式、支給時期、支給方法などを規程化し、従業員に報償の内訳を書面で通知する手続きを整えることが望ましい。
職務発明補償規程の導入手続き
職務発明補償金制度を導入する際には、次の手続きに従わなければならない。
補償規程には、権利承継の範囲、補償基準、補償金の支給方法、算定方式、異議申立ての手続き等を明確に規定しなければならない。
韓国発明振興会では「オーダーメイド型職務発明補償規程コンサルティング」を無償で支援しているため、これを活用することも一つの方法である。
3. 職務発明報償金 | 企業が職務発明報償金制度を活用する利点

職務発明報償金制度は、単に法的義務を履行すること以上の、経営戦略的な仕組みとして活用することができる。
これを導入し、効果的に運営する場合、企業は次のような具体的な利益を期待することができる。
1. 中核的な特許権の安定的な確保
職務発明は、多くの場合、企業の中核技術に直結する。
制度を通じて従業員の発明に対する権利を合法的に承継し、安定的に権利を確保すれば、他社との競争の中で特許権の確保と技術独占力を確保することができる。
特に、スタートアップや中小企業の場合、主要なIPが企業価値の大部分を占めるため、この部分が非常に重要である。
2. 優秀な人材の離脱防止および動機づけ
職務発明に対する正当な報償とインセンティブを提供すれば、研究開発人材の動機づけを高め、技術開発の意欲を促すことができる。
実績に対する報償は、人材の流出を防止し、持続的な技術革新を可能にして、組織の技術競争力を長期的に維持することができる。
3. 政府支援事業および税制優遇の確保
職務発明報償制を定着させた企業は、特許庁、中小ベンチャー企業部、科学技術情報通信部の政府支援事業において優遇の加点を受けることができる。
また、職務発明報償金について研究人材開発費の税額控除を通じて法人税の軽減の恩恵も受けることができ、財務的負担を軽減できる。
発明者に支給した報償金は700万ウォンを限度として非課税の恩恵が与えられ、従業員の満足度も併せて高めることができる。
4. 特許・意匠・実用新案など知的財産権の登録費用の削減
職務発明報償制を運営する企業は、特許庁の優先審査の資格を付与され、権利化期間を短縮し、4~9年目の登録料の追加20%の減免の恩恵も受けることができ、長期的に知的財産権の維持・管理費用を削減できる。
5. 知的財産の経営体制の整備と法的リスクの予防
職務発明報償規程を通じて、従業員と使用者との間の権利帰属および報償方策を明確に定めておけば、今後の権利帰属紛争、不当な利益配分の主張、退職者とのIP紛争などを事前に遮断することができる。
これにより、不要な法律費用の発生を減らし、企業リスクを管理する知的財産の経営体制を構築することができる。
6. 企業イメージと対外的信頼度の向上
職務発明報償制を運営しているという事実だけでも、人材を尊重する企業文化、技術革新への投資、倫理経営を実践する企業イメージを構築でき、対外的な評判と投資家の信頼の確保にも肯定的な効果を期待することができる。
職務発明補償制度の事前対応と戦略的運用の必要性
発明振興法は、使用者が補償規程に従って補償金を支給した場合、「正当な補償」をしたものとみなす。
ただし、形式的な規程のみでは認められないため、合理的な補償基準の整備、従業員との事前協議、公表、補償金算定基準の明確性を必ず確保しなければならない。
これを怠ると、後に発明者が追加の損害賠償を請求し、または権利帰属の無効訴訟が生じる場合があるため、注意が必要である。
職務発明補償金制度は、単なる人事・福祉制度ではなく、企業の中核的な知的財産権の確保と紛争予防、研究開発の動機付け、政府支援の恩恵にまでつながる戦略的な経営手段である。
スタートアップや中小企業は、技術集約的な事業モデルであるほど、事前に職務発明補償規程を明確に制定し、実効性をもって運用することで、不要な法的紛争を予防し、中核人材の流出を防ぎ、政府支援や税額控除の恩恵も確保できる。
初期段階から知的財産権専門弁護士の助力を求め、職務発明制度の導入と運用を体系化することが、実務上最も効率的な方法である。











