CONTENTS
- 1. 事業場競売引受に関する事件概要

- - 廃棄物の発生及び違法埋立の経緯
- - 事業場競売引受の過程
- - 事件の核心的な争点
- 2. 大法院が判断した廃棄物の責任承継基準

- - 廃棄物管理法上の事業場廃棄物の意味
- - 事業場外部の廃棄物も承継の対象となるか
- - 自己責任の原理と責任制限の法理
- - 責任制限が認められうる例外事由
- 3. 判決と法的効果

- - 判決に対する核心の整理
- 4. 実務で確認が必要な事項

- - 確認すべき事項
- 5. 事業場の引受及び環境紛争への対応

- - 法的検討が必要な場合
- - 法務法人大倫のサポート
1. 事業場競売引受に関する事件概要

本件は、廃棄物処理業の事業場を競売により引き受けた会社が、従前の事業者の廃棄物処理義務まで負うかが問題となった事案です。
特に、当該廃棄物が事業場の内部ではなく外部の埋立地に放置されていたという点で、事業場の引受人の責任範囲をどこまで認めることができるかが中心的に扱われました。
廃棄物の発生及び違法埋立の経緯
従前の事業者は、全羅南道長城郡所在の事業場で廃棄物処理業を営んでいた会社でした。
当該事業場は、工程の過程で指定廃棄物である鉱滓を排出し、外部の業者に廃棄物処理を委託しました。
しかし受託業者は、委託された廃棄物に土砂を混合して益山所在の廃石山に埋め立て、その後浸出水が近隣の河川に流入し、環境汚染問題が発生しました。
環境庁は、従前の事業者に対して廃棄物処理の措置命令を下しましたが、当該命令は履行されませんでした。
事業場競売引受の過程
その後、原告会社は、任意競売の手続を通じて従前の事業場の土地、工場建物及び機械設備等を引き受けました。
問題は、環境庁が原告に対して「事業場を引き受けることにより、従前の事業者の廃棄物関連義務も承継された」と判断し、外部の埋立地に放置された廃棄物及び浸出水の処理命令を下したことにより生じました。
事件の核心的な争点
当該事件では、次の事項が中心的に問題となりました。
▶ 争点2. 競売を通じて事業場を引き受けた者に公法上の義務がどこまで承継されるか
▶ 争点3. 引受人が外部廃棄物の存在を知らなかった場合にも責任を負うか
特に、事業場の引受人の責任範囲を自己責任の原理と財産権保護の観点からどのように制限できるかが、重要な争点として扱われました。
2. 大法院が判断した廃棄物の責任承継基準
大法院は、廃棄物管理法の立法趣旨と事業場の引受構造をあわせて考慮し、責任承継の範囲を解釈しました。
廃棄物管理法上の事業場廃棄物の意味
⑨「民事執行法」による競売、「債務者再生及び破産に関する法律」による換価(換価)、又は「国税徴収法」・「関税法」若しくは「地方税徴収法」による差押財産の売却、その他これに準ずる手続により、事業場廃棄物排出者の事業場の全部又は一部を引き受けた者は、その事業場廃棄物に関連する権利と義務を承継する。
廃棄物管理法は、事業場で発生する廃棄物を「事業場廃棄物」と規定しており、当該廃棄物を排出した事業者を「事業場廃棄物排出者」と定めています。
また、本件で問題となった旧廃棄物管理法第17条第7項は、競売等の手続を通じて事業場を引き受けた者に事業場廃棄物に関連する権利・義務の承継を認める趣旨の規定であり、大法院は、このような規定の目的が放置廃棄物の発生防止及び環境保護にあると判断しました。
事業場外部の廃棄物も承継の対象となるか
大法院は、「その事業場で発生した廃棄物」であれば、外部の場所に放置された場合についても原則として承継の対象に含まれると判断しました。
すなわち、廃棄物の現在の位置よりも、当該廃棄物がどの事業場で発生したかが重要な基準であるという趣旨です。
したがって、事業場の外部に廃棄物が存在するという事情のみをもって、責任の承継が当然に排除されるわけではないと判断しました。
自己責任の原理と責任制限の法理
ただし大法院は、事業場外部の廃棄物に対する責任を制限なく認めることはできないと判断しました。
大法院は、憲法上の自己責任の原理に言及し、自ら決定又は統制することができない領域にまで無制限の責任を負わせることは制限される必要があるという点を指摘しました。
特に、外部廃棄物の場合、競売の過程で存在を確認することが難しいことがあり、引受人が直接支配・管理しない場合が多く、処理費用の規模を予測することが難しい場合が存在するという点が考慮されました。
責任制限が認められうる例外事由
ただし大法院は、次のような事情が認められる場合には、責任の承継を制限できると判断しました。
▶ 知らなかったことについて正当な事由がある場合
▶ 競売手続上、現実的に確認が難しい状況が存在した場合
すなわち、事業場の引受人の責任は一律に認められるものではなく、引受当時の認識可能性と具体的な事情をあわせて考慮して判断されるべきであるということです。
3. 判決と法的効果
大法院は、事業場を競売により引き受けた場合、事業場で発生した廃棄物に関する公法上の義務は原則として承継されうると判断しました。
ただし、事業場の外部に放置された廃棄物の場合まで一律に責任を認めることはできず、引受人が当該廃棄物の存在を知らず、そのように知らなかったことについて正当な事由がある場合には、責任の承継を制限できると判断しました。
特に大法院は、事業場外部の廃棄物に対する責任を無条件に認めることは、自己責任の原理及び財産権保護の原則と衝突しうると判断しました。
判決に対する核心の整理
区分 | 判断内容 |
事業場内部の廃棄物 | 原則として責任の承継を認める |
事業場外部の廃棄物 | 原則として承継の対象に含む |
責任制限の可能性 | 例外的に認められうる |
制限の判断基準 | 引受人の認識可能性及び正当な事由 |
原審判決 | 審理不足を理由に破棄差戻し |
主要な法理 | 自己責任の原理・財産権保護 |
この判決は、事業場の引受人の責任範囲を一律に解釈することはできず、廃棄物の位置と引受人の認識可能性等をあわせて考慮しなければならないという点を明確にした事例です。
また、事業場外部の廃棄物に関する責任は、競売手続の特性と引受人の統制可能性等を総合的に検討して判断しなければならないという基準を示したという点で、実務上の意味があります。
4. 実務で確認が必要な事項
この判決は、事業場の競売引受の過程で廃棄物関連の責任構造がどのように承継されるかを具体的に示した事例です。
特に、事業場の外部に放置された廃棄物の場合にも原則として責任承継の対象となりうるという点で、事業場の引受以前の段階における環境リスクの検討の必要性が問題となる可能性があります。
また、引受人が外部廃棄物の存在を知らず、そのように知らなかったことについて正当な事由がある場合には、責任制限の可能性が認められうるという点で、引受当時の調査範囲と認識可能性もまた重要な判断要素となります。
実際の事業場の引受及び競売手続では、次のような事項についての確認が必要となる場合があります。
確認すべき事項
確認が必要な事項 |
|---|
事業場で発生した廃棄物の処理及び委託の履歴 |
外部埋立又は違法処理の可能性の有無 |
環境庁の措置命令及び行政処分の履歴の確認の有無 |
廃棄物関連の民事・刑事・行政紛争の進行の有無 |
事業場外部の廃棄物の存在に対する認識可能性の検討 |
引受過程で実施された環境デューデリジェンスの範囲及び内容 |
事業場の運営履歴や廃棄物処理の経緯についての確認なく競売又は事業場の引受を進める場合、予想できなかった環境責任の問題が発生する可能性が存在する場合があります。
5. 事業場の引受及び環境紛争への対応
事業場廃棄物の処理義務と環境責任は、それぞれ独立して存在する問題ではなく、事業場の運営履歴、廃棄物の発生経緯、委託処理の構造、行政処分の有無等が結合した状態で判断されます。
特に、事業場を競売又は引き受ける過程では、資産そのものだけでなく、従前の事業者の廃棄物関連の公法上の義務まであわせて問題となりうるため、事業場外部の廃棄物の存在の有無と責任承継の可能性があります。
また、廃棄物管理法上の責任承継は、事業場内部の廃棄物と外部の廃棄物を同一に取り扱わない可能性が存在し、引受人の認識可能性と統制可能性もまた問題となる可能性があります。
法的検討が必要な場合
- 事業場の競売又は企業の引受を進める場合
- 廃棄物処理業・リサイクル業関連の事業場を引き受ける場合
- 事業場外部の廃棄物の存在の有無が問題となる場合
- 環境庁の措置命令又は行政処分を受けた場合
- 廃棄物処理業者への委託過程で紛争が発生した場合
- 事業場の引受以後に環境汚染及び処理費用の問題が発生した場合
法務法人大倫のサポート
不動産弁護士は、行政弁護士、企業弁護士と協業し、次のような事項についての法律検討を提供します。
• 事業場外部の廃棄物に関連する認識可能性及び責任範囲の分析
• 環境庁の措置命令及び行政処分への対応方向の検討
• 廃棄物処理の委託構造及び環境リスクの検討
• 競売・再生手続で発生しうる環境責任の分析
関連する法律検討が必要な場合には、事業場の運営履歴と環境責任の構造をあわせて検討できる🔗不動産弁護士との 相談を通じて対応の方向をご検討ください。












