CONTENTS
- 1. 権利金訴訟 | 権利金の概念

- - 権利金訴訟の要件
- - 権利金の法的定義
- - 権利金契約の性質
- 2. 権利金訴訟 | 訴訟が必要な場合

- - 賃貸人による権利金回収機会の妨害行為
- - 権利金訴訟における建物主の正当な事由
- - 権利金訴訟の鑑定評価
- - 権利金訴訟の強制執行
- - 損害が生じた場合
- 3. 権利金訴訟 | 訴訟の要件と期限

- - 訴訟の成立要件
- - 消滅時効
- 4. 権利金訴訟 | 賃借人の場合

- - 訴訟における立証の構造
- - 主な証拠資料
- 5. 権利金訴訟 | 賃貸人の場合

- - 対応戦略
- - 正当な事由の立証
- - 証拠資料
- 6. 権利金訴訟 | チェックリスト

- - 不動産専門弁護士による助力システム
1. 権利金訴訟 | 権利金の概念

権利金訴訟で権利金とは賃借人がこれまで営業を通じて形成した取引先、立地の利点、信用、営業ノウハウなど有形・無形の財産価値を新規賃借人に引き渡す対価として授受される金銭をいう。
権利金訴訟の要件
権利金訴訟を進める前に、訴訟の欠格事由に該当するかどうかを見ていく過程が必要です。
権利金訴訟を進めるためには、次のような条件が必要です。
1. 営業を行っている商業用建物および店舗が国家公用財産でないこと。
2. 店舗面積が3,000㎡以下であること。
3. 事業者登録対象建物であること。賃貸の主な部分を住宅として使用中であれば、権利金の保護を受けられません。
4. 3期以上の賃料の滞納がなく、無断で他人に賃貸した事実がないこと。すなわち、賃借人の帰責事由がないこと。
5. 契約満了6ヶ月以内に新規賃借人との契約を斡旋したことがあり、建物主が正当な事由なく新規賃借人との契約を拒絶して権利金の回収ができなかった場合であること。
既存の賃借人と賃貸借契約期間が終わる6ヶ月前から権利金取引が可能です。
権利金の法的定義
「権利金」とは、商業建物で営業を行う賃借人または営業をしようとする者が、 営業施設・備品、取引先、信用、営業ノウハウ、商業建物の立地などによって形成された有形・無形の財産価値を譲渡し、または利用させる対価をいう(「商業建物賃貸借保護法」第10条の3第1項)。
これは保証金・賃料とは別個の概念である。
権利金契約の性質
権利金契約は既存の賃借人と新規賃借人の間で締結される民事契約である(「商業建物賃貸借保護法」第10条の3第2項)。
これは新規賃借人が既存の賃借人に一定の金額を支払い営業価値を承継することに目的がある。
これに従い賃貸人は権利金を返還する義務はないが、賃借人の権利金回収の機会を妨害してはならない。
2. 権利金訴訟 | 訴訟が必要な場合

権利金訴訟は、賃借人の権利金回収の機会を賃貸人が不当に妨害または侵害した場合に提起することができる。
「商業建物賃貸借保護法」第10条の4では賃貸人の特定の行為を禁止しており、その違反が生じた場合、賃借人は損害賠償を請求することができる。
賃貸人による権利金回収機会の妨害行為
賃貸借終了前後で賃借人が周旋した新規賃借人との権利金取引を賃貸人が不当に妨害してはならない。
もし次のような妨害行為をした場合、権利金回収機会を侵害したものとみなす。
2. 賃借人が周旋した新規賃借人になろうとする者に対し、賃借人へ権利金を支払えないようにする行為
3. 賃借人が周旋した新規賃借人になろうとする者に、商業建物に関する租税、公課金、周辺の商業建物の賃料および保証金、その他の負担に伴う金額に照らして著しく高額の賃料と保証金を要求する行為
4. その他、正当な事由なく賃貸人が、賃借人が周旋した新規賃借人になろうとする者との賃貸借契約の締結を拒絶する行為
権利金訴訟における建物主の正当な事由
権利金訴訟で 建物主が 正当な 事由を 挙げて 新規賃借人との 賃貸借契約を 拒絶することも あり得ます。

1. 新規賃借人が 保証金 または 賃料を 支払う 資力が ない 場合
2. 賃貸借契約を 維持することが 困難な理由が 存在する 場合
3. 商業用建物 などを 1年 6か月 以上 営利目的で 使用しなかった 場合
4. 建物主が 選んだ 新規賃借人が 既存の賃借人と権利金 契約を 締結し、その 権利金をすでに 支払った 場合
上記の ような 事由が 存在する 場合、 建物主は 新規賃借人との 賃貸借契約を 拒絶することが できます。
権利金訴訟の鑑定評価
権利金訴訟の 進行中に権利金算定のために鑑定を 申請することになります。
商街賃貸借保護法は、権利金訴訟で 請求できる権利金の請求額は、新規賃借人が既存賃借人に 支給することにした 権利金と 賃貸借 終了当時の 権利金の うち 低い 金額を超えることができないと 規定しています。
すなわち、賃貸借終了 当時の 権利金を 把握しなければならないため、 鑑定申請は 権利金訴訟の中で必須的な 手続とみなせます。
権利金訴訟の強制執行
権利金訴訟で 勝訴判決を 受けた後、権利金を 建物主が 支払わない 場合、 判決文を 執行権原と して 強制執行 手続きを踏むことが できます。
🔗不動産競売、 口座の差押え、 動産の差押えなど さまざまな強制執行 手続きが 存在します。
強制執行 手続きによっても権利金を 確保できなかった 場合は、財産明示、 財産照会、 債務不履行者名簿への登載など 法的 手続きを 模索してみることが できます。
不動産専門弁護士との 事後措置に 関する相談を 行い、 権利金債権の執行を 進めるべきです。
損害が生じた場合
上記のような賃貸人の違法な妨害により賃借人が実際に権利金を回収できず金銭的損害が生じた場合、 権利金訴訟を通じて損害賠償を請求することができる(「商業建物賃貸借保護法」第10条の4第3項)。
この際損害と認められる範囲は次のとおりである。
(ただし、新規賃借人が提示した権利金と賃貸借終了当時の権利金のうち低い金額を限度とする。)
3. 権利金訴訟 | 訴訟の要件と期限

権利金訴訟を提起するためには一定の法的要件を満たさなければならず、消滅時効内に請求してこそ法的保護を受けることができる。
訴訟の成立要件
賃借人が賃貸人を相手に権利金損害賠償請求訴訟を提起するためには、次のような要件を備える必要がある。
: 賃借人は契約終了前 6か月から終了日までの期間中に新規賃借人を賃貸人へ周旋しなければならない。
② 新規賃借人の権利金支払いの意思
: 賃借人が周旋した新規賃借人は、既存の賃借人へ権利金を支払う意思がなければならず、その意思表示は明確でなければならない。
③ 賃貸人の妨害行為の存在
: 賃貸人が正当な事由なく新規賃借人との契約を拒絶したり、高額の保証金・賃料を要求するなど権利金回収を妨害する行為がなければならない。
④ 実際の権利金損害の発生
: 賃貸人の妨害により賃借人が新規賃借人から権利金を受け取れなかったという事実、すなわち損害が実際に生じていなければならない。
⑤ 因果関係
: 賃貸人の妨害行為と賃借人の権利金損害との間に因果関係が存在しなければならない。
これらの要件を立証するためには、ショートメール、メール、契約書の草案、協議内容の録取書、権利金の提案書など多様な証拠資料が必要である。
消滅時効
権利金回収機会を侵害された賃借人が訴訟を提起することができる法的な期限は次のとおりである。
: 権利金損害賠償請求権は賃貸借終了日を基準として 3年内に行使しなければならず、これを過ぎると消滅時効により請求ができなくなる。
4. 権利金訴訟 | 賃借人の場合

権利金訴訟において、賃借人は権利金回収の妨害があったという事実を主張・立証しなければならず、その過程で中心となる資料や事情を十分に収集する必要がある。
立証の負担は、主に権利金回収の機会を妨害された賃借人にあるため、訴訟の前に証拠を十分に準備しておくことが求められる。
訴訟における立証の構造
区分 | 立証すべき事項 |
① 権利金回収の試み | 賃借人が新規賃借人と接触し、又は権利金契約を試みたか |
② 正当な新規賃借人の存在 | 権利金を支払おうとする新規賃借人が実際に存在したか |
③ 賃貸人の妨害行為 | 賃貸人が正当な事由なく新規賃借人との契約を拒否したか |
④ 損害の発生 | 権利金が回収されないことにより損害が発生したか |
※ 賃貸人は、新規賃借人を拒絶した事由が正当であったか否かについて反証することができ、この場合、賃貸人の反対立証も重要な争点となる。
主な証拠資料
訴訟を準備する賃借人であれば、次のような資料をできる限り確保しておく必要がある。
▶ 新規賃借人の事業者登録予定証明書や事業計画
(新規賃借人が保証金及び賃料を支払う資力、又は賃借人としての義務を履行する意思及び能力等の立証)
▶ 権利金の額及び内訳が記載された文書又は計算書
▶ 賃貸人の契約拒絶の事実を確認できる文字メッセージ、電子メール、録音記録等
▶ 実際の権利金回収の失敗による損害を立証できる資料
5. 権利金訴訟 | 賃貸人の場合

権利金訴訟において、賃貸人は賃借人の損害賠償請求に対して防御するため、自らの行為が正当であったことを立証し、又は賃借人が主張する事実を争う方法で対応することができる。
特に、新規賃借人を拒絶した事由が正当な事由に当たることを積極的に主張し立証することが、中心となる点である。
対応戦略
賃貸人が権利金回収の妨害行為について訴訟を提起された場合、次のような方法で防御することができる。
: 賃借人が新規賃借人を実際に周旋しなかったこと、又は権利金契約が成立しなかったことを主張することができる。
② 新規賃借人が「正当でない者」であったことの立証
: 例えば、新規賃借人の保証金支払能力が不足し、又は事業計画が不十分で賃料の延滞のおそれがある場合には、正当な拒絶事由となる。
③ 賃貸人に正当な事由があったことの立証
: 「商業建物賃貸借保護法」第10条の4 第2項が定める「正当な事由」が存在したことを主張することができる。
正当な事由の立証
新規賃借人との契約を拒絶したことについて、次のような正当な事由があった場合には、これを立証して訴訟において防御することができる。
▶ 賃借人が周旋した新規賃借人になろうとする者が、賃借人としての義務に違反するおそれがあり、又はその他賃貸借を維持することが困難な相当の事由がある場合
▶ 賃貸借の目的物である商業建物を1年6か月以上営利目的で使用していない場合
▶ 賃貸人が選定した新規賃借人が賃借人と権利金契約を締結し、その権利金を支払った場合
証拠資料
上記のとおり、賃貸人もまた、正当な拒絶事由がある場合や賃借人の主張に不備がある場合には、適切な反論を通じて訴訟において防御することができる。
ただし、効果的な立証のため、次のような証拠資料を十分に準備する必要がある。
区分 | 主な証拠資料 |
新規賃借人の不適格性 | 信用照会書、税金滞納証明、金融取引不良の履歴等 |
資力不足の立証 | 新規賃借人の資金不足を確認する資料、口座残高証明書等 |
使用目的の不存在 | 賃貸人の今後の商業用建物の活用計画書、用途変更届出書等 |
第三者による権利金支払の確認 | 第三者が既存賃借人に実際に権利金を支払った契約書・振込証等 |
6. 権利金訴訟 | チェックリスト

権利金訴訟を準備する際は、権利金回収の妨害の有無、損害の発生、立証資料を体系的に点検することが求められる。
下記の表は、訴訟の準備の際に必ず確認すべき主要な項目を整理したチェックリストである。
区分 | 確認事項 |
権利金契約の存否 | 既存賃借人と新規賃借人との間の権利金契約の有無を確認 |
権利金回収の試み | 賃借人が新規賃借人との間で権利金回収を試みたか否かを確認 |
賃貸人の妨害行為 | 賃貸人が正当な事由なく権利金回収の機会を妨害したか否か |
新規賃借人の適格性 | 新規賃借人に保証金・賃料の支払能力が十分にあるかを確認 |
損害の発生の有無 | 賃借人が権利金を実際に回収できず損害を被ったかを確認 |
証拠資料の確保 | 契約書、文字メッセージ・電子メール、録音記録等の関連証拠資料の確保の有無を確認 |
不動産専門弁護士による助力システム
当法人には、大韓弁護士協会に登録された不動産専門弁護士、及び平均10年以上の経歴を有する専門弁護士が多数在籍している。
賃貸人による権利金回収の妨害に基づく損害賠償請求、賃借人の不当な権利金要求への対応、契約書の作成及び証拠確保の戦略の策定など、各事案に応じた法的支援が可能である。
一人で全ての手続を担うことが難しい場合には、不動産弁護士の助力を通じて、より正確かつ迅速に手続を進めることを検討し得る。













